RR Donnelley(RRD)は米国では「印刷」と同義語と言っていいほどの名前です。このマーケティングおよびビジネ
スコミュニケーションの巨人は、Printing Impressions 400 にリストされている中で、北米最大の印刷会社であり続け
ています。また 30 か国以上で企業活動しています。しかし RRD の名前は、一般的に商業印刷会社と位置付けら
れていますが、実際には、はるかに幅広い通信サービスを提供しており、ラベル部門は、工業、製薬、商品ラベル
等の分野に様々なラベル製品を生産販売しており、同社の繁栄を支えるセグメントになっています。
「ラベル生産の面では、フレキソ、デジタル、スクリーン印刷を搭載した多機能型印刷機を 175 台以上所有してい
ます。ラベル市場に於いて想像できる全ての仕上げ加工、及び加飾装飾機能も提供できる準備がなされていま
す。」と、RRD Labels&Forms の社長である Bruce Hanson 氏は述べています。
ラベル製品の機能性と出力形態は多様ですが、RRD Label Solutions が、マーケットに於いて差別化できる重要な
方法の 1 つは、今まで培ったライナーレスラベル製造の専門知識と、その革新的なラベルを製造するための強固
な生産プラットフォームです。ライナーレスラベルでのリーダー的地位を維持するために、RRD は ETI Converting
Equipment を選択しました。最初の機械は、20インチ幅でしたが、2019 年 11 月に設備した機械は、26 吋幅であ
り、共に ETI Converting Equipment 製です。
RRD は、世界をリードするマーケティングおよびビジネスコミュニケーション企業として、安定した稼働時間と高品
質製品生産を同時に得られる信頼性の高い機器を必要としていました。その為に 2 台目のライナーレスラベル生
産機を設備する際に、RRD Label Solutions の生産担当上級副社長である Brian Hamrick 氏は、様々な印刷方式
と加工装置を搭載して高品質な機械を製造しているカナダ ケベック州モントリオールを拠点とする ETI に再び注
文することを躊躇しなかったと述べました。
「新しいプレスでは、スピードが必要でした」と Hamrick 氏は言います。 「私たちはより広く、より速い生産速度を
望んでいました、そして ETI チームは私たちのためにそれを提供することを約束しました。最初の導入した ETI の
機械のパフォーマンスをベースに、2台目機械も宣伝通りに機能することを確信していました。」
ライナーレス化のアドバンテージ
何十年もの間、ラベルはほぼ同じ方法で製造されてきました。印刷プロセスと技術は高度に技術的な操作に進化
しましたが、ラベルウェブが印刷機を通過する方法はほとんど変わっていません。一般的には紙ベースの剥離ライ
ナーは、印刷および加工プロセスを通じてラベルのキャリアとして機能し、ダイカット後に不要のラベル部分はマト
リックスはカスとして廃棄され、ラベルとして納品された後は、パッケージが何であれ、ラベルが貼り付けられた後
は、廃棄する無駄なゴミになります。
しかし、ライナー付きラベルでが、ライナーレスラベルテクノロジーの出現により、ライナーは、生産から製品への貼
付けまでのプロセスから完全に削除され、いくつかの重要な利点がもたらされます。最も目に見える利点は、廃棄
物の節約にあります。
北米の主要なラベル業界団体である TLMI が発行した「2018 Matrix Survey Report」によると、マトリックス廃棄物
はコンバーターの総材料の 15%を占めていると推測できます。 2017 年に TLMI メンバーを対象に実施した調査
では、回答者の 75%が埋め立て地をマトリックス廃棄物処理に利用し、10%が焼却、8%がエネルギーの原料と
して使用し、7%がリサイクルしていることが明らかになりました。
RRD の場合、持続可能性の利点に加えて、他の複数の要因により、ライナーレス機能を搭載したいという会社とし
ての要望が生まれました。 Hamrick 氏が説明するように、ライナーレスラベルを製品ラインナップに追加する主な
動機は、お得意様により効率的な製品を提供することでした。ラベル生産に関わるすべてのコンポーネントの中で、
生産プロセスから可変要素を削除できることは非常に有益であり、剥離ライナーを削除することは、RRD の得意先
にとっても重要な可変要素が削除されることになります。
Hamrick 氏は、効率の観点からも、ライナーがなければ、RRD の得意先は、自動ラベル貼りの工程で、残存したラ
イナーの巻戻しや廃棄作業が不要となるメリットがあると説明しています。さらに、ライナーを取り外すと、より多く
のラベルを 1 つのロールに収めることができます。これにより、ラベルロールを交換する頻度が少なくなるため、ダウ
ンタイムも短縮されます。
この利点が発揮される可能性のある例としては、ハンドヘルドラベルプリンターを利用している得意先向けです。
Hamrick 氏は、これは荷物にラベルを貼る作業を行なう配達トラックの運転手に共通する問題であると説明してい
ます。ライナーレスラベルを採用すると、即座に運転手の作業時間を節約できます。
「彼らが、ひとつのロール内のラベルが多ければ多いほど、彼らにとってありがたいものになります」と Hamrick 氏
は言います。 「モバイルプリンターに収まるのは小さなロールだけなので、ライナーレスは彼らにとって明確な利点
です。」
しかし、Hamrick氏が RRD にみられた顕著な変化があった言うもう一つの重要な点は、生産部門の安全性を向上
させることができたことでした。 実際にあった例では、ラベルがライナーから取り外されると、ライナーが作業場の床
に置かれることによって、潜在的な安全上の問題が発生していました。
「シリコーンコーティングを施したライナーが生産現場や倉庫環境の床に敷設されている場合、非常に滑りやすく、
安全上の問題が発生する可能性があります」と彼は言います。
信頼関係
ETI が、最初のライナーレスラベル製造機を製作したのは、2005 年に納入した RRD Label Solutions 向けのウェブ
幅 20 インチ機です。 Hamrick 氏は、RRD 側からの特別なニーズがあった為、最初のライナーレスラベル製造機
の開発には両社の多大な協力が必要であったと説明しています。 RRD は独自の水性接着剤を使用していました
が、当時、ETI はホットメルト接着剤塗工用の機器しか製造していませんでした。しかし、双方で強力にコミュニケ
ーションを計り、ETI は RRD 要求に沿った機械を提供できたと Hamrick 氏は言います。
「それは ETIにとってチャレンジでした、そして彼らは、仕様通りに機能する機械を RRD に提供することができまし
た。」
何年にもわたって、Hamrick 氏は、RRD と ETI は強力な関係を維持しており、ETI は 2005 年に設置された機械を
軽量する方法を見つけました。彼が指摘する 1 つの例は、どのようにして ETI が機械の生産能力を向上させる方
法を見出したたかという点です。Hamrick は回想します。ETI が、接着剤コーティング用のオーブン乾燥機の経験
を持つ営業担当者を RRD に派遣し、インディアナ州アンゴラにある RRD Label Solutions の設備のチームと共同
で開発しました。 その結果、既存の ETI 機に大きなオーブンを追加することにより、1 時間あたりの生産量を増や
しました。
しかし、近年、ライナーレスラベルに対する顧客の需要が高まっているため、RRD はさらに多くの生産容量が必要
となり、新しく 26 インチ幅の ETI ライナーレスラベル製造機を設置することを決定しました。 Hamrick 氏は、ウェブ
幅を大きくすることにより、RRD の生産量が大幅に増えると説明しています。また、同社の最初のライナーレスラベ
ル生産機も信頼性が高く、サイズ、速度、稼働時間の組み合わせにより、RRD に必要な後押しがもたらされたと彼
は言います。
「最初の ETI 機をアップグレードした場合でも、その後見られた生産効率の向上は、ETI エンジニアの支援による
ものでした」と彼は言います。
ETI から提供した技術
ETI は、印刷と加工でラベル業界に於いて主導的な地位を築いており、その1モデルである Cohesio 機は、感圧ラ
ベルの製造に於いても信頼性の高いソリューションとなっています。 Cohesioラインを際立たせているのは、その独
自のラベル製造プロセスであり、廃棄物削減と、ラベル製造コストの両方を大幅に削減します。
従来の粘着ラベルを製造するには、Cohesio 機に、ラベルフェイスストックと、剥離ライナーを別々の巻き戻し部
に掛けることから始まります。次に、フィルムまたは紙のライナーは、フェイスストックとラミネートされる前に、
シリコンと粘着剤がコーティングされます。
ラベル印刷、加工会社は、紙、フィルム、またはボードでもフェイスストックとして使用できます。フレキソ印刷
ユニットを活用すれば、ラベルフェイスストックの両面に印刷されたラベルも製造できます。Cohesio で最初に粘着ラベル
に加工されたウェブを掛けて、更にフェイスストックを追加すれば、自在な構成のピギーバックラベルも製造できま
す。
ETI は、従来のラベル製造プロセスの革新に加えて、Cohesio 機にライナーレスラベル製造機能を追加することも
可能です。この ETI のライナーレスラベルインライン製造機が開発される前は、ライナーレスラベルは通常、手作
業で貼り付けるラベルアプリケーションでのみあり、ラベルは矩形しかありませんでしたが、ETI はライナーレスラベ
ル用のインラインダイカットも開発し、様々な形状のライナーレスラベル生産が可能な道を拓いています。
ライナーレス印刷プロセスでは、基材(DDR では、通常クリアフィルム)は最初に印刷されます。必要に応
じて、材料の両面に印刷を行うことができます。その後、基材の表面にシリコンを塗布し、裏面に接着剤を
塗布します。
ETI は、多くの種類の加工を用意しているので、様々なライナーレスラベルアプリケーションと、それを採用するマ
ーケットセグメントが出現しました。 RRD Label Solutions の場合は、独自開発の粘着剤を使用することにより、
非常に有益なソリューションを提供しています。これが重要な利点であることが証明されている 1つのセグメントは、
窓とドア用のラベルです。
Hamrick 氏は、RRD が独自のミクロスフェア接着剤を開発したことで、製造プロセスの全期間を通してラベルを窓
やドアに貼り付けることができると説明しています。次に、その窓またはドアが取り付けられて、そのラベルを剥が
すときが来たら、RRD の粘着剤は残留物が残りません。
「窓からラベルを剥がす為にかみそりの刃が必要であった時のラベルについて考えてみてください」とハムリック氏
は言います。 「当社独自の粘着剤を使用すると、残留物を残すことなく、そのラベルを窓から簡単に剥がすことが
できます。」
しかし、最終的には、ラベルおよびパッケージング業界で成功するには、高いレベルのラベル製品を高速で生産、
管理する機能が必要です。 ETI 機器を設備した RRD Label Solutions は、この点で安心しています。そして今、よ
りウェブ幅を広く、より高速な ETI ライナーレスラベル製造機で、RRD のライナーレスラベルの生産は新たな高み
へと引き上げることができます。
「私たちが、この度設備した ETI 機に本当に興奮しているのは、それがよりウェブ幅の広い機械であり、指数関数
的に生産量を増やすことができるということです」と Hamrick 氏は言います。 「これは非常に信頼性の高い機械で
す。優れた設計であり、重大なダウンタイムは発生していません。そして ETI は、今までも発生した問題に非常に
責任を持って対応してきました。」
ー 当記事 終わり -
- コヒージオ : 事前印刷されたウェブを掛けて、シリコン塗工、粘着剤塗工、貼り合わせ、ダイカット迄、粘着ラベルを一貫生産
- レーベライン: コヒージオに印刷ユニットを組み合わせ、最終製品ラベルをワンパス製造
- ライナーレスラベル専用機 : 新規設計で、機械全長を短縮したライナーレスラベル製造機。 事前印刷された基材も使用可能
- ETIのライナーレスラベル技術と、RR Donnery社の要求仕様とのマッチング
- メトロノーム : フレキソ輪転機。 全サーボ駆動による「ギアレス、スリーブ版胴式フレキソ印刷ユニット」と、既存所有の版胴をそのまま活かす「従来型ギア駆動フレキソ方式」を用意しています。
- コヒージオはライナーレスラベルの製造も兼用 : コヒージオでは、僅かなオプション追加で、通常の剥離紙付きラベルと、ライナーレスラベルの兼用機になります。
- ミニ コヒージオ : 全長8メートルの機械で、コヒージオ機の機能、生産速度をそのまま継承
- シリコン塗工機 : Silicoart UVシリコン、或いはサーマルシリコン塗工システム
- 粘着剤塗工のバリエーション: スロットダイ塗工、ホットメルト粘着パターン塗工、 UVホットメルト粘着塗工、 エマルジョン粘着塗工
- ダイカットのバリエーション : シングル・ダブルダイカット、パテント取得済の「ぺリカット:12ミクロンの極薄PETライナーの採用を可能とするETI 特許技術、剥離ライナーのリサイクル化、同じ製品径のロールで約2倍のラベル数を格納」
- 給排紙方式のバリエーション : 省スペース原紙2本給紙、オートスプライサー、オートリワインダーなど
- 特注設計 : ワイドウェブ、インクジェット印刷搭載、極薄フィルムライナー等の特殊設計機を画像集で紹介。 例:航空バゲージタグ ワンパス生産ライン
- ETI企業紹介
- ラベル製品の生産に於けるバーティカルイノベーションを提案 : フランソワ ベイゼロン, CEO of ETI Converting 寄稿
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