2004 年9月のことであった。ベルギーでのビジネスを終え、パリへ戻った翌日、得意先であり大学は映像系学科出身の方とカメラと三脚を持って、パリを散策することになった。凱旋門の下は既に他の機会に得意先達と何回も行っているが、今回は屋上まで上がることにした。6ユーロ程でチケットを購入して、皆の行く通り階段を上がった。既に観覧車に乗って写真を撮ったことがあるが、まだエッフェル塔にもノートルダムにも登っていないので、上から見るパリの街を期待した。 約170段弱。屋上は、四方、完全に網で囲われいて写真を撮る環境ではないが、折角凱旋門の上に来たので、手前の網を飛ばそうと望遠レンズに付け変えた。 ニコンマウントの富士フィルムS3Proに70-200mmのレンズを付け、6枚程撮った。同行した得意先と一緒に、凱旋門上を一周した時である。女性の制服係員が私に近づき、撮影は禁止であると言って去った。友人は中判のフィルムカメラを使用したいたので、注意は私より彼の方であろうと思い、宿泊しているラテンクォーター地区のジュヌビエーブ丘方面にカメラを向けた。その時、その女性警備員ともう一人の男性が私に近づき、2回目の注意であるので下に降りるよう指示されると同時に、両腕を掴まれ、凱旋門屋上のある一室に連れて行かれた。私は、写真の技術、機器の両面でも私が同行していた人の方がはるかに優れていると抵抗しても、聞き入れられず、降りることを了承した。 聞いたら、パリには景観として肖像権があり、一般のカメラは構わないが、私のはダメであるということであった。レンズの長さを見ての判断であったそうだ。毎日警備を兼ねてカメラもチェックしているのであろうから、抵抗しなかった。警備員専用の階段があるのだろうと思って、次の指示を待機していたが、何と到着したのはエレベーターであった。数秒でフロアレベルに到着し、解放された。勿論、一般の客は乗れないエレベーターである。 写真を充分に撮れなかった残念さはあるが、少し得をした気になった。短い時間であるが屋上から撮った写真は、見れば分かるものばかりである。最初の画像は、凱旋門屋上からシャンゼリゼ方面へ向き、次の画像は、180度後方の新凱旋門方面である。モンマルトルの丘は、西日が当たって明るいが、その真反対のエッフェルやモンパルナスタワーは暗い。 しかし注目すべきは、ルーブル宮の出入口から、ルーブルピラミッド、カルーセル凱旋門、チュイルリー公園の道と門、そしてコンコルド広場のオベリスク、シャンゼリゼ通り、当凱旋門を通過して、新凱旋門まで、見事に一直線である。